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ART OSAKAでツァイ・グオチャン(蔡國強)作品を見る!

《Footprints of History: Fireworks Project for the Opening Ceremony of the 2008 Beijing Olympic Games》(2008) Commissioned by The International Olympic Committee and The Beijing Organizing Committee for the Games of the XXIX Olympiad [Ephemeral] Photo: Hiro Ihara Courtesy: Cai Studio

7月8日(土)・9日(日)に梅田のホテル、グランヴィア大阪で開催されたART OSAKAにお邪魔しました。ART OSAKAとは、現代美術に特化したアートフェアとしては国内最大級で、今年は国内外より54ギャラリー(関西21、関西以外27、台湾3、韓国2、マカオ1)が参加。アート関係者だけではなく、コレクターなどをはじめとする一般のアートファンも多数来場し、フロア全体がかなり賑やかな雰囲気だったのが印象的でした。

会場を聞いて不思議に思った方がいるかもしれませんが、この展覧会の一つの特徴として、ホテルの客室フロアを貸し切って使用しているというところがあります。各ギャラリーごとにホテルの一部屋が割り当てられ、部屋の中に作品を展示しています。
中にはベッドなどの家具の上に小さなサイズの作品をちりばめたり、備え付けのテレビに映像を流したり、トイレやバスルームにまで作品を展示しているギャラリーもあり、客室という空間を思い思いに活かした工夫がされていました。
通常は同じデザインの部屋でも、それぞれの作品やギャラリーの雰囲気によって演出が全く異なり、その違いを見比べることもこの展覧会楽しみ方の一つなのではないかと思います。

ホテルの客室を利用した展示のもう一つのポイントは、実際に一般の家庭の部屋の空間に近いということです。ART OSAKAは美術館などで行われる展覧会と違い、アートフェアなので作品を鑑賞するだけでなく、気に入った作品はその場で購入することも可能。自宅に飾る作品を探している来場者が、お目当ての作品をベッドルームに飾った姿をそのまま見ることができるので、購入後に飾る際のイメージがわきやすいのではないかと思います。
また、普段ギャラリーや美術館の空間にあると美術作品もなんだか難しくとらえてしまうことはないでしょうか。特に現代美術はコンセプチュアルな作品も多く、そこが面白さでもありますが、単純に身近なアートとして楽しむには難しいと思われる方も多いのではないかと思います。

ですが、このようにホテルの一室に飾られている姿をみると、途端にアートと自分との距離が縮まっていくのを感じました。普段現代美術を鑑賞しても自分自身の解釈に留まっていた私ですが、客室が狭いこともあり、ギャラリーの担当者の方にもついつい色んな質問をしたくなってしまう雰囲気でした。
なかには自ら来場者と交流するアーティストも見られ、現代美術作家やアーティスト、さらに一般市民がそれぞれに歩み寄り、距離を縮めることのできる機会になっていました。

蔡国強展示風景

さて、今回ART OSAKAさんにお邪魔した一番の目的は、アジア回廊の参加アーティストの一人であるツァイ・グォチャン 蔡國強 (さい・こっきょう)の作品を紹介することでした。今回出品されていたのは2001年に制作された《万華鏡 #2》。蔡國強が1989年から2000年までに制作した多数のプロジェクトを写真で記録し、その細片を素材として使用した万華鏡で、もともとGallery Nomartとのコラボレーション企画として制作された作品です。
異なる場所や時に作られた作品同士を組み合わせて万華鏡に閉じ込めることで、無限の可能性を作り出す、いわばアルバムのような作品となっており、そこには蔡作品の代表的な素材「火薬」の調合や、予測の不可能性を思わせるつながりも感じられました。
また、実際に万華鏡を覗くと、単に写真の組み合わせだけではなく光の入り具合や細片の角度でも見え方が異なるところも印象的でした。

《万華鏡 #2》

今回のイベントでは、ギャラリーやアート関係者のネットワークだけでなく、一般の来場者を積極的にアートに繋ぐ努力が垣間見え、現代美術がより多くの人に触れられる存在になるようにアジア回廊も励んでいきたいと、より強く思うことができました。
ART OSAKAさんありがとうございました!

テキスト:稲垣知里(インターンスタッフ)

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